48神学

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現代史の謎に挑む・『AKB0048』と消された「誰かのために」

これ↑は『AKB0048オフィシャルガイドブック』での渡辺麻友の発言なのだが、まゆゆ懐かしいな、どうしてるのかな?就職したんだろうか?小さな会社の事務員とか似合いそう。OA化が進んでいない事業所で、指サックして伝票書いてたりしてほしいな。

それはともかく、0048からもう10年になるのか…。この発言がどういう問題をはらんでいるのか、忘れそうなので忘れないうちに書いておく。

AKB0048』は2012年(第1期)と2013年(第2期)に放映されたアニメである。主役にあたるアイドルグループ(兼反体制ゲリラ組織)AKB0048の研究生9人を、オーディションで選ばれた当時のAKBメンバー(声優選抜)が演じた。一方、主人公たちの先輩である正規メンバー、作中では「襲名メンバー」を、堀江由衣田村ゆかりら本職の人気声優たちが演じていた。

AKB0048』関連の楽曲といえば、一番有名なのは第2期のエンディングテーマ「この涙を君に捧ぐ」だろうか。メンバー人気も高く、今でもコンサートなどでたまにセトリに入る。本作のために書き下ろされた曲の一つである。これ以外のオリジナル楽曲の評価もおおむね高い。いずれも前述の声優選抜からなるユニット、NO NAME名義でリリースされている。

さて問題はここからである。オープニングやエンディングでかかるオリジナル曲のほかに、作中では挿入歌として既存のAKB楽曲が多数使用されている(リストはwikipediaにある)。挿入歌の中には、声優選抜メンバーのみならず、襲名メンバー役の声優たちも歌唱に参加したオリジナル・バージョンもある。

ここまで説明すると、冒頭のまゆゆの発言の意味がわかるだろう。まゆゆここで言う「最終回」とは、2012年7月の、第1期の最終話のことである。

まゆゆいわく、この回で襲名メンバー役の、当代の人気声優たちが「誰かのために」を歌ったと。

ところが、その第1期最終話には、襲名メンバーが「誰かのために」を歌うシーンはない。それどころか「誰かのために」は1小節たりとも流れないのである。

念のために、翌年放映された第2期の最終話を見ても、やっぱり「誰かのために」は流れない。

AKB0048』に「誰かのために」は登場しないのである。

録音されたはずの、「誰かのために AKB0048襲名メンバーver.」は、世に出なかったのである。

北京原人の化石って、北京からアメリカに移送する途中で太平洋戦争がおっぱじまってしまい、船が日本軍に拿捕されて以降は行方不明になってるらしい。「誰かのために」の消息は、北京原人のホネと並ぶ現代史最大の謎の一つなのである。しかし人間というものはホネとか歌とか、その程度のことはすぐに忘れてしまう。忘れたことさえ忘れてしまわないうちに、ここに書いておく。

 

声優選抜メンバーが妙に布の少ない服を着せられている表紙。