大晦日なので更新します。
秋頃からメンタルの状態(脳調)が悪くなった。
こういうときに救いとなるのがアイドルだと思っていたのだが、実際に凹んでいるときはそれどころじゃないですね。
握手会に行くのも、DMMで劇場公演を観るのも、映像倉庫で短い動画を観るのも、Showroomを観るのも、はてはモバメを読むのさえ苦痛になってしまった。劇場公演に応募するのも億劫になってしまった。
現実が厳しいときにはアイドルなんて役に立たないんだな。と思いました。正直。
とにかくメンタルの状態(脳調)が良くないので、インターネットでメンタルの状態(脳調)がよくなるライフハックを検索した。
すると「慈悲の瞑想」というワークが効くらしいということがわかった。
(「慈悲の瞑想」については↓の記事に詳しく紹介されているけど、このあと簡単に説明するので読まなくても大丈夫です)
もともと「慈悲の瞑想」は原始仏教の修行法の一つで、こんなマントラを唱えながら瞑想をする。
「この人は、心と体を持っています。わたしと同じです。気持ちや感情、考えもあります。わたしと同じです。悲しんだり、がっかりしたり、怒ったり、混乱したりすることがあります。わたしと同じです。人生で肉体的、心理的な苦しみを経験しています。わたしと同じです……」
ようするに、自分以外の誰かへの思いやりを想起し、その思いやりを自分にも向けていく。臨床心理学の世界で最近流行っている「セルフ・コンパッション」(自分への思いやり)というやつだ。
さっそく俺もやってみようと思ったのだが、上記のマントラがどうも気恥ずかしいし、しっくりこない。
調べたら自分なりにアレンジしたマントラを唱えてもいいらしい。
そこで、私は3秒かけて息を鼻から吸い、ゆっくりと口から吐き出しながら、声を出さずに唱えてみた。
「いつも感謝。冷静に、丁寧に、正確に。みんなの夢が叶いますように。」
「みんなの夢が叶いますように」のところで、嫌いな☓☓☓の顔が思い浮かんだ。嫌いだけど、この☓☓☓にも夢がある。知らんけど、きっと素敵な夢なんだろう。
夢を見るときのこいつは、たぶん嫌なやつではない気がする。
自然にそう思えて、嫌いな☓☓☓のことが少し好きになり、心が少し温くなった。
私はもう一度、鼻から息を吸い、ゆっくりと吐き出しながら唱える。
「いつも感謝。冷静に、丁寧に、正確に。みんなの夢が叶いますように。」
唱えるたびに、嫌いな人や苦手な人、特になんとも思っていない人の顔が思い浮かび、その人の夢の匂いを私は嗅いだ。そのたびに心が穏やかになっていくのがわかった。
何度目に唱えたときだろう、私は気づいた。
「みんな」というからには、その中に私も含まれていてよい。
私は私を許せない。私は私が嫌いである。私は私を受け入れられない。
自分を許して受け入れるのは案外難しい。だから人は心を病む。
しかし、「みんな」を受け入れていった先の、「みんな」のひとりである自分なら、少し違った目で見ることができるような気がする。
どうにも自分に慈悲を向けられない人が、他人に慈悲を向けていった勢いで自分にもやさしくなれる。「慈悲の瞑想」とは、そういう手法なのだと私は理解した。
同時に、「みんなの夢が叶いますように」という言葉が、実は自分を許し受け入れるための言葉でもあったことに、私は気づいたのだった。
チームAバージョンの円陣マントラに、このひと言を加えてチームBバージョンをつくった浦野一美は偉大である。
こういうときアイドルは役に立たないと一瞬思ったけど、やっぱり役に立ちました。48神学者として一歩前進した。
まあぼくの信仰体験談はこれくらいにするとしまして。
推しにはやさしいのに、そして推し以外のアイドルも惜しみなく応援するのに、自分にはやさしくないヲタクが、私の周りにはいっぱいいる。
アイドルちゃんへのやさしさの余波みたいなものでいいから、自分にも及ぼせるようになりたいものですね。これからは。
推しメンの1万分の1くらいでいいから、自分のことも好きになれるといいですね。
そりゃ、自己啓発セミナーじゃあるまいし、いきなり自分を好きになったりはできない。が、「みんなの夢が叶いますように」と願うとき、「みんな」の末席に自分を加えるくらいはしてもいいんじゃないでしょうかね。
そのほうが、あなたの推しメンも喜んでくれると思います。
というわけで、みなさま、よいお年を。
みんなの夢が叶いますように。
追記 セルフ・コンパッションについては興味深いツイートがあった。
最近の心理学界隈では「自己肯定感より Self-compassion」みたいなことが言われ始めているけど、これを「自己憐憫」と直訳すると日本語では別の意味になってしまう。
— 済州島みかん🍊 (@99mina_jeju) March 25, 2018
そこでアイドル用語を借用して「自分推し」と訳すと、かなり近い意味になることに気付いた。https://t.co/KqHaHqCyy5
ダメなところもあるけど推しは好き。なんなら嫌いになることもあるけど、それでも推しは推し。という懐の深いやさしさを、アイドルに対しては向けられるのがヲタクである。それを自分に対しても応用できたらいいねという話である。セルフ・コンパッションについては読みやすい入門書やネット記事がいっぱい出てるので、メンタルが調子悪い人は検索してみたらいいかもしれない。