48神学

Give me 大方の御批判と御教示。

あなたを支えてくれる人を信じなさい

いろいろなことがあった一週間でしたが、なかでも印象深かったのは、JpopRocksの野澤玲奈インタビューだった。

 

JPR:

 What is the most important trait to have to be an AKB member?

AKB48のメンバーになるのに一番重要な特性は何ですか?

 

 Rena:

Actually, you don’t really need anything because the fans really help you. And that’s the strongest point, but I think an important trait to have is to keep believing in who’s supporting you. Like, keeping the connection; remembering that if they’re not there, you won’t be here. Is it a trait? It’s a way of thinking I guess. I think that’s probably the only thing you need, because you can be anything here. You can do anything.

実はなにもいらないんですよ、ファンの皆さんが助けてくれるから。一番大切なのは、サポートしてくれるファンを信じること。ファンがいなければ私達は存在しないことを忘れない。それが特性になるのかな。    

  JpopRocks Interviews Rena Nozawa - AKB48

 

この回答には意表をつかれた。みなさんがいるからアイドルでいられる、というのは、アイドルからヲタクへのよくあるリップサービスだけれど、アイドルの資質論の文脈で言われるとびっくりする。しかもnot anyだ。中学の英語の授業で習った記憶がある。ヲタクが助けてくれるから、本当になんにもいらないと断言している。びっくりして少し涙が出てしまった。

アイドル本人に言われると、「アイドルを生み出しているのはヲタクなのかもしれない」と真剣に思ってしまう。

一方、ヲタクになるのに一番重要な特性はなんだろう? 

潤沢な資金や時間、コミュニケーション能力などは、あれば楽しみの幅を広げてはくれるだろう。でも、きっとヲタクになるのに必要とまでは言えない。だって、そんなのなくてもヲタクを満喫しているヲタクはたくさんいる。

じゃあなんだろう、アイドルに対する愛? 

それも、ちょっと違うかな。愛なんて偽善的なことは言わない、自分がおもしろいからヲタクやってるだけだ、というヲタクはいっぱいいるもの。

なるほど、それでわかった。ヲタクになるのに一番大事なものは真心だ。推しへの愛に生きるヲタク、偽善を嫌いエゴイズムを隠さないヲタク、両者に共通する美徳はウソのない真心である。

ヲタクになるのに一番重要な特性は何ですか。

それは、真心です。

……と、結論づけてもいいのだが、問題は、人はあまり自分の真心に自信を持ったりはしないということだ。だからヲタクは病むのだろう。自分に真心はあるだろうか。メンバーにウソをついていないだろうか。自分にウソをついていないだろうか。メンバーのためといいながら自分のことを考えていないだろうか。君が好きといいつつ、自分の理想像をメンバーに押し付けているだけではないだろうか。本当はもう疲れているのに、惰性で接触に通っていないだろうか。……だろうか……だろうか……だろうか……病む病む。

本当は、ヲタクになるためには何もいらないのだ。アイドルが助けてくれるから。

真心は大事なものだ。しかし、真心はあなたの胸や、脳にあるのではない。ヲタクがアイドルに真心を贈るのではない。推しと出会ったとき、あなたの心にどこからか訪れるのが真心である。アイドルがあなたを真心にしてくれるのだ。

一番大切なのは、"to keep believing in who’s supporting you. "

あなたの推しを信じること。アイドルがいなければ私達は存在しないことを忘れない。

アイドルはヲタクを信じ、ヲタクはアイドルを信じる。交差する信頼の真ん中あたりに私の信仰は存在する。しかしアイドルもヲタクも、信じ切るにはあまりに頼りない人間なのだ。険しい道である。

 

(引用した以外の部分も、ノザのインタビューは異文化の人に対して「48Gとはなにか」を説明するための模範文例集、のおもむきがありおすすめです)