ネットアイドルとしてのAKB48
主に経済的な理由で、しばらくのあいだ在宅になります。
おそらく数ヶ月に一度しか当たらないであろう劇場公演は応募を続けようと思いますが、それ以外の現場には行かず、ネットをつうじて48Gを見ることにします。
もちろん現場に行かないとわからないことは多いし、私も早めに現場復帰したいとは思う。
一方で、アイドルは現場に行く人のためだけのものだとも思わない。アイドルとはそんなに小さなものではないだろう。
秋元康総合プロデューサーは、かつて「ネットアイドル」としてのAKB48という考え方を語ったことがある。2007年に出た『48現象』(ワニブックス)でのインタビューで、である。
曰く。AKB48をはじめたとき、アイドル界全体のことは意識していなかったが、
「唯一ちょっと考えてたのが……。ネットアイドルって、いろんなところがやっては失敗していたんだけど。だいたい人気投票をやって1位のコがデビューできる、みたいな。それってぜんぜんインターネット的じゃないんだよね。一方向的で、テレビの発想とぜんぜん変わらない。受け手側の意見は量でしか還元されてない。そうじゃなくて、彼らは双方向で好き勝手にやり取りしていて、その状況の中から生まれるアイドルがいたとしたら、それがネットアイドルだと思ったんだよね」
ここで「彼ら」というのは、いち早く劇場に入り、ブログなどで情報発信した最初期のヲタクたちのことだ。
「定点の濃さをweb的な双方向性で盛り上げてっていう、そういうことができないかなって」
もともと、やすすは「今までテレビとともに歩んできたんで、今度は真逆のことをやってみよう」という発想で「秋葉原48プロジェクト」をはじめている。
小劇団の小屋のような「定点」と、ネットアイドル的な「双方向性」とを、「数字」(視聴率)が決定的な重要性を持つテレビとは「真逆」をめざす戦略として、やすすは意識していたのである。
2009年に出た『クイック・ジャパン vol.87』では、もっと直截な言い方もしている。
- 作者: AKB48,前田敦子,大島優子,小野恵令奈,秋元康,笑福亭鶴瓶,カーネーション,森山未來,千原ジュニア,鈴木おさむ,長尾謙一郎,西島大介,川口春奈
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: 単行本
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「実はAKB48ってネットアイドルだと思うんですよ。もちろん実体はあるし秋葉原の劇場に毎日いる、「会いに行ける」んだけれども、AKB48を劇場で観たことがない人達のほうが多い」(強調・引用者)
「例えば劇場で「今日」何かがおきたら、観ている人達が携帯で発信して、その情報がネット中を走り回る。ブログをやってるメンバーも多いし、AKB48とファンがネットを通じて繋がっているんですよね」
その後も48Gは、Google+や755、SHOWROOMといったネットのツールと積極的に組んできた。48Gの「ネットアイドル」路線は、今にいたるまで続いている。
ブログやTwitter、Instagramなども当然活用され、AKB48ができた2005年と現在を比べると、メンバーが自分で情報発信できるネット上の道具は増えた。
そして今、メンバーがネットを使って自ら発信したことをきっかけにして、ヲタクたちのリアクションも含め、48Gを実際には観たこともない人たちまで巻き込んで、グループのニュースは「ネット中を走り回」っている。言うまでもなく新潟の件である。
ある意味では、48Gはますますネットアイドル化しつつあるのかもしれない。
そしてその「ネットアイドル」という方向性は、AKB48が、あるいはやすすが、当初から目指したもののひとつでもあるのだ。
いい機会なので、というのは現場に行けない者の負け惜しみ半分ですが、しばらくはネットアイドルとしての48Gを追ってみたいと思います。
思い出してみると、AKBに興味を持ってから半年くらいは、ひたすら某チューブで動画(当時はいっぱいあった)を観ている在宅でした。今なら映像倉庫かなー。