タイトル未定
「アイドルは疑似恋愛を売る仕事なんだから、恋愛禁止は正しい」という意見があるが、売る恋愛が疑似恋愛ならば、恋愛の禁止も疑似禁止で良いだろう。
— Shin Hori (@ShinHori1) 2022年11月26日
つまり「恋愛はしても良いが、公表せず、恋愛してないように振る舞うこと」で良いはずである。
本当にね、アイドルが疑似恋愛というサービス?商品?を売るビジネスに過ぎない、のだったら楽なんですけどね。オタクが「不良品じゃねえか!金返せ!」なんて怒っちゃったりして。「まあまあまあ、落ち着けよ、な、飲みに行こう。おごるよ」なんてオタク仲間がなだめたりなんかして。返金請求に備えたスキャンダル保険を損保会社が開発して、アイドル運営に売り込んだりなんかしてね。
アイドルはただのビジネスじゃないんだよな。残念ながらというか、幸いにもというか。日本においてアイドルはある種の社会的弱者*1を支援する運動でもあり、アイドルは支援者でもある。アイドルもアイドル運営も通常はわざわざ言ったりはしないが、実態としてそうなっている。
事業者にも支援者にも倫理は求められるけど、求められる倫理の内容が違う。
あくまでビジネスとしてフェミニスト団体の代理人を引き受けてる男性弁護士がいるとして、この先生が私生活では亭主関白でも、「何が問題なの?」で済むだろう。いや許さんというクライアントはいるだろうが、少なくとも職業倫理に反してはいない。
一方、この先生が、SNSなどで当該団体の思想と活動に支持を表明し、義によって馳せ参じた支援者でもあったのならどうか。それでもなお、「支援活動と家庭生活とは別」といった意見もあるだろう。そのくらいいいじゃねえかと。「私生活をちゃんと隠せよ」と考える人もいるだろう。「週刊文春は弁護士の私生活を暴くのをやめろ」とかな。そうだとしても、支援者仲間や当事者が「裏切られた」と感じて悲しんだり怒ったりするのは当たり前である。
誰かの取引相手ではなくて、味方になったら、裏切りの範囲も変わる。
実際にはアイドルは疑似恋愛を売るビジネスでもあるのだろうし、歌やダンスをはじめとする芸を見せるショービジネスでもあるし、ある種の社会的弱者を支援する運動でもある。いろんな要素が入り混じっているので、たとえ同じグループのファンでもそれぞれに見ているものが違う*2。アイドル自身、自分の仕事/活動がどういうものだと考えているか、は人それぞれだろう*3。
昼間の用事の合間にちらほらTL見つつ夜になってひとこと。スキャンダルが話題になるときって、「推す」とかいうマジックワード1つでゆるい連帯感あった人たちが、それぞれ何を見てるか、逆に言えば何を見ないようにしているか、が明らかにされちゃっているような気がしてなんかさみしいですね…
— いときん (@110kin) 2022年11月19日
僕は連帯してるんだかしてないんだかくらいな、このゆるい連帯感が好きです https://t.co/o8qgzizmXQ
— いときん (@110kin) 2022年11月22日
一方で、あんまり興味ない人が「アイドルって、要するに○○なんでしょ」と単純化したくなる気持ちはわかる。複雑なこと考えると脳の容量食うからな。興味ないことで脳の容量食われたくないもんな。仕方ない。情報化社会が悪い。アイドルに興味ある自分は、そういう人のシンプルなだけに強いまとめに引きずられないように気をつける。*4*5
僕は2010年紅白新規ですよ
「ヲタクは出てほしいんだろうし、そんなに興味ないけど残念だって言っておこう」
「推しが悔しがってるし、そんなに興味ないけど激励しておこう」
といった賢者の贈り物現象がごく一部で起こっている気がする。ごく一部で、ですよ。
市川愛美「休館日つくるくらいなら覚えますよ」
2022/11/02、岡田奈々生誕祭 に出演した当日のSR配信より、市川愛美の発言。
(コメントで「ユーティリティプレイヤー」と評され)
「ユーティリティプレイヤーってすごい響きいいけど、ただの便利屋だよね(笑)」
「いいんだよ。私は器用貧乏で、なんて言ったらいいんだろ…都合のいい(笑)、扱いやすい人だと思われてれば。別にそれはそれでいい。嬉しくはないけど。それはそれでいい。公演に出れるから。休館日つくるくらいなら(新ポジション)覚えますよ」
(公演に入った人のコメント「今日、楽しかったです」)
「よかったです♪」
おまけ・Lay downで北澤早紀を押し倒そうとするも…
「早紀ちゃんを倒そうと思ったら、『いやぁあああああ』みたいな。『ムリムリ!』みたいにされたから、『あー倒れてくれーん…』みたいな感じで。仲良くやってました」
襲名制の誘惑は続く
今のAKBを一人も知らないという人でも前田敦子や大島優子や篠田麻里子は知っている。
現役メンバーの名前を覚えてもらうには大変な手間と金がかかるが、「2代目前田敦子襲名のお知らせ」をプレスリリースで流すのは簡単だし、手頃なネタに困ってるメディアが喜んで取材に来てくれそうだし、とっくの昔に他界していったファンも聞きつけて「久々に現場へ行ってみるか」と思いそうだし…といった甘い皮算用を誘発するのが襲名制である。なにしろ発案者はあの河森正治である。魅力的に決まっている。
「そんなのうまく行くかよ」と思われるだろうが、うまく行ってない時にはうまく行きそうな話に耐性がなくなるもので、実際、ちょっと前まで、運営の方針は襲名制導入にかなり傾いていたのではないか。少なくとも「襲名前提で研究生を取れ」派の意見を無視できないくらいにはなり、「そんなのありえない」派との間で議論が決着しないために、新人採用の方針を決定できなかった。結果17期オーディションは遅れに遅れたのだ。
何を隠そう私は妄想を語っているわけだが、語っているうちにだんだん本当のことのような気がしてきた。思い出すのは大抜擢された途端にやめてしまった何人かの若手メンバーのことです。あれ、2代目大島優子とか2代目前田敦子を襲名させられそうになって逃げ出したんじゃなかろうか?歌番組でいきなりフラゲのセンターってあからさますぎる…。
もちろん襲名制はぜんぜんサステナブルでない。おそらく、過去の遺産を食いつぶすだけで、かえってAKBの衰退につながるのである。そうは言っても、苦しい時にすがりたくなるよさげな話ではあるし、少なくとも話題性は期待はできるから厄介なのである。俺が事業部長で、CDの売れ行きがジリ貧で、なんとかしろって上に激詰めされたら「襲名制しかありません」と進言したくなるだろう。気持ちはわかる。
だから正気を保って、今のAKBでちゃんと売れようとしているメンバーと運営に拍手を送りたいのだ。たとえば勝手に広報部長をつとめている山根涼羽は立派である。
本日 … 「 うたコン」で
— 山根 涼羽 (@48Suzuha_16LOVE) 2022年10月18日
♩ #恋するフォーチュンクッキー
♩ #久しぶりのリップグロス を
披露したAKB48メンバーです 🌼
気になるメンバーはいましたか?
ぜひ 、 AKBを好きになってください … !#うたコン #AKB48 pic.twitter.com/YWQcb98gOa
そういえば柏木さんもこんな動画を出していた。
(柏木由紀が切実にならざるを得ないほど、襲名制の導入が現実味を帯びていたのか?)
運営もがんばって17期採用にこぎつけたし、次は18期のオーディションもある。
とはいえ、襲名制導入派は、まだ息の根を止められたわけではない。コンサートのスクリーンにメンバー名を表示する程度のことが徹底されないのは、襲名制導入派のサボタージュと考えれば納得できる。パンデミックが落ち着いたら、情勢はどちらに有利に傾くのか。暗闘は続く。
現代史の謎に挑む・『AKB0048』と消された「誰かのために」
これ↑は『AKB0048オフィシャルガイドブック』での渡辺麻友の発言なのだが、まゆゆ懐かしいな、どうしてるのかな?就職したんだろうか?小さな会社の事務員とか似合いそう。OA化が進んでいない事業所で、指サックして伝票書いてたりしてほしいな。
それはともかく、0048からもう10年になるのか…。この発言がどういう問題をはらんでいるのか、忘れそうなので忘れないうちに書いておく。
『AKB0048』は2012年(第1期)と2013年(第2期)に放映されたアニメである。主役にあたるアイドルグループ(兼反体制ゲリラ組織)AKB0048の研究生9人を、オーディションで選ばれた当時のAKBメンバー(声優選抜)が演じた。一方、主人公たちの先輩である正規メンバー、作中では「襲名メンバー」を、堀江由衣、田村ゆかりら本職の人気声優たちが演じていた。
『AKB0048』関連の楽曲といえば、一番有名なのは第2期のエンディングテーマ「この涙を君に捧ぐ」だろうか。メンバー人気も高く、今でもコンサートなどでたまにセトリに入る。本作のために書き下ろされた曲の一つである。これ以外のオリジナル楽曲の評価もおおむね高い。いずれも前述の声優選抜からなるユニット、NO NAME名義でリリースされている。
さて問題はここからである。オープニングやエンディングでかかるオリジナル曲のほかに、作中では挿入歌として既存のAKB楽曲が多数使用されている(リストはwikipediaにある)。挿入歌の中には、声優選抜メンバーのみならず、襲名メンバー役の声優たちも歌唱に参加したオリジナル・バージョンもある。
ここまで説明すると、冒頭のまゆゆの発言の意味がわかるだろう。まゆゆここで言う「最終回」とは、2012年7月の、第1期の最終話のことである。
まゆゆいわく、この回で襲名メンバー役の、当代の人気声優たちが「誰かのために」を歌ったと。
ところが、その第1期最終話には、襲名メンバーが「誰かのために」を歌うシーンはない。それどころか「誰かのために」は1小節たりとも流れないのである。
念のために、翌年放映された第2期の最終話を見ても、やっぱり「誰かのために」は流れない。
『AKB0048』に「誰かのために」は登場しないのである。
録音されたはずの、「誰かのために AKB0048襲名メンバーver.」は、世に出なかったのである。
北京原人の化石って、北京からアメリカに移送する途中で太平洋戦争がおっぱじまってしまい、船が日本軍に拿捕されて以降は行方不明になってるらしい。「誰かのために」の消息は、北京原人のホネと並ぶ現代史最大の謎の一つなのである。しかし人間というものはホネとか歌とか、その程度のことはすぐに忘れてしまう。忘れたことさえ忘れてしまわないうちに、ここに書いておく。
声優選抜メンバーが妙に布の少ない服を着せられている表紙。
ひななに「AKBー!」と言ってほしい―武道館コンサートの「RIVER」について下口ひななが語る
武道館コンサート3daysの最終日。セトリのうち3曲のセンターをくじ引きで決めるという企画でみごと赤玉を引き当てた下口ひななが「RIVER」のセンターをつとめたので本人の発言(2022/10/09のSR配信)をまとめておきます。
「ウッホかなと思った」
ひなな「(センターをやる曲は)ウッホ(「ウッホウッホホ」)かなと思ったの。ゆきりんさんが選ぶなら元気な曲かなって思った。……「RIVER」って聞いて「あっ」て。「RIVER」か…そこから私のいろんな考察タイムが。「RIVER」はどうしようかって(笑)」
「せっかくなら『今日一番よかった』と言ってもらえるくらいのパフォーマンスがしたいって。やるからには爪痕をゴリゴリのこさないと、ゆきりんさんが『RIVER』をやらせてくれた意味がない」
「Aメロ誰と歌いたいですか?」
「ゆきりんさんが『Aメロ誰と歌いたいですか?』って振ってくれて。これ、簡単に選んじゃいけないな、軽率に選べないなって」
「いっぱい曲を聞いて、歌詞を読んで……私と一緒に歌ってくれる人。隣で支えてくれる人。この歌詞を今一緒に歌いたい人は誰だろうって考えたときに…一番最初に出てきたのがおだえりだった」
「おだえりが今、選抜になったからこそ一緒に歌いたいなって。私はおだえりの…(涙)…おだえりと出会ったときから今までで、たくさんの夢を一緒に語ってきた人だったから。夢とかたくさん聞いてきてたし、いちばん話してた人だったから…おだえりがいいんじゃないかなっていうので決めました」
「私にとっては、今同期もいなくて。ずっとひとりだった私にいつも寄り添ってくれる人だったから。まあ、おだえりはそうは思ってないかもしれないけど(笑)」
「(他のメンバーは)ゆきりんさんがきっと選んでくれたのかな。私の関係性をみて決めてくれたのかなって思うんですけど」
「ひななに『AKBー!』と言ってほしい」
「次は選んでもらえるような人間になれるようにがんばろうと思います。今日からまた夢にしがみついて、願いが叶う日までがんばろうと思います」
「ゆきりんさんに『RIVER』やりますっていう連絡いただいたときに『ひななにはAKBー!って言ってほしいから』って。そこだけは聞いたんですよ(笑)」
「この『RIVER』はゆきりんさんからのメッセージ。もっと自分を信じろとか。めちゃくちゃ拡大解釈かもしれないけど」
「 振り入れをしてくれたのは候補生のときに『RIVER』を教えてくれた先生だったんですよ」
「もうひとついいですか?うしろ(ステージの背景)緑だったらしい。写真で見て緑じゃーん。愛。さすがに愛」
「センターってやっぱ、いろんな人に支えられて立てるんだなってことに気づけました」